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今の所は『陰陽師』『アイドルマスター』のMAD置き場。 リンク先はニコニコとyoutube。 使用ツールはWindowsムービーメーカーとpaint。
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島原薫さまより
サイトhttp://undersister.blog93.fc2.com/

小さな星 http://www.nicovideo.jp/watch/sm1986544
Reset http://www.nicovideo.jp/watch/sm984750
Reset(リメイク版) http://www.nicovideo.jp/watch/sm1878047



やっぱり私、活動停止なんて認めない

だって

 

小さな星 -Reset-


a0656051.JPG

 







 久しぶりの事務所は相変わらず狭苦しくて、懐かしい匂いが一杯でちょっと気が滅入った。
「伊織ちゃんっ」
 いち早くこちらに気づいた小鳥が私に近づいてくる。目の端に涙なんか浮かべてそのまま私に抱きつ
いてきた。
「ちょっ、ちょっとぉ、いきなりなによぉっ」
「う~、だってだってぇ」
 はいはい、と私は未だに抱きつこうとする小鳥を引き剥がすと、社長の居場所を聞く。半べそで答え
る小鳥に、一体どっちが子供なんだか分からなくなる。いや、私は子供でも大人でもないのかもしれな
い。


いかないでよぉ


 ふいに思い出すあの場面を振り切るように社長室のドアをノックする。はい、と答える声と共にドア
を開く。心臓が少しだけ跳ねる感覚。でも、あの時なんかよりも全然マシ。暖かく出迎えてくれた社長
に、アイドルとしての私が久しぶりに今の私を押し退けた。

 社長室を出ると、ずっと待っていたのだろう。不安げな表情のまま、小鳥がこちらに近づいてくる。
私は少し肩の力を抜くように、そのまま笑った。
「そんな心配そうな顔しなくても、引退なんてしないわよ。小鳥」
「伊織ちゃん」
 また私に抱きつく小鳥に、果たしてこんな人だったかしら、と改めて疑問に思う。初めの頃はもっと
こう、しっかりしてたというか、子供相手にも堅苦しかったような。
 なんとか小鳥を引き剥がした私は、先ほど、社長と話し合ったことを小鳥に伝えた。
「そう、ちょっとだけお休みをもらうだけなのね。安心したわ」
「まあ、私も普通の学生に戻るのも悪くないって思ってネ」
 私の言葉に、小鳥がフフ、と笑顔を見せる。コロコロと、まるで春香のように表情豊かな女性だ。
「小鳥って自分にとても素直よね。よくそんなに笑ったり、泣いたりできるわ」
 それに比べて、こんな時でも皮肉っぽくなってしまう自分がうっとおしい。けど、小鳥はそのままの
笑顔で「それは伊織ちゃんも同じ」と、続けた。
「今の伊織ちゃん、一杯笑ったり怒ったり泣いたり、とっても素敵だと思うわ」
「……そう」
 不意打ちの一言。けど、私の心は恥ずかしさでのた打ち回るどころか、まるで冷たい海に突き落とさ
れたみたいに暗く、冷たい。そうだ、今の私がいるのは紛れもなくプ……アイツのおかげだ。
「ねえ小鳥……ホントに私は、私の力で笑えてると思う? そりゃ私がアイドルとして成功できたのは、
 ファンがいて、スタッフがいてとにかく周囲の人達の力のおかげ。だけど、私は、アイドルとしての
 私は全部、アイツがいたからここまで……!」
 言葉が詰まり、二の句を継げない私に小鳥さんは何気なくテレビを見やる。つい追ってしまった視線
の先には、私より早くデビューした春香が先日出した新曲を披露していた。私を超える人気、それに加
え、最近ではアイドルとしての枠を超えつつあるタレント(才能)。
 ブラウン管の中で心地良く踊る彼女に、小鳥は「春香ちゃんもね」と、口を開いた。
「彼女もね、伊織ちゃん、貴方と同じ。ううん、それよりも辛い目にあったかもしれない」
 小鳥はテレビから目を離さない。その瞳の中に、一体春香の何を知っているのだろう。
「一番大切だった人に、酷い言い方をすれば拒まれて、落ち込んで、悲しんで、まるで空っぽになって
 しまったの。信じられる? あんなにキラキラしてる子が一日中、壁を前にボンヤリとする日々」
 それは、人伝えで少しだけ聞いたことがあった。その時にはもう私は多忙の身で、だから春香の悲し
みを、辛さを理解するなんて到底、不可能だった。
「伊織ちゃんはまだ、プロデューサーさんとの関係が壊れたわけじゃないでしょう? こんなことを言
 うのはなんだけど、まだ、貴方はマシよ」
「マシ……」
 いつの間にかこちらを向いていた小鳥の顔に、先ほどまでの朗らかさなんてない。
 試してる。これっぽっちの壁にへこたれそうな私をあえて突き放して。アイドルとしてじゃない、一
人の女性として、ちゃんとアイツに向き合える人間か。
 そう。私はまだ、マシだ。なんて後ろ向きな救いなのだろう。でもそれはすぐに、前向きな気持ちに
変わってくれた。
「そうね、小鳥。私はまだ、マシかもしれないわ」
 テレビを見ると、春香はまだ歌っていた。


97cd269f.JPG
 






大切な祈りが届くように
今日も歌い続ける
探していた答えは ここにあると
そっと教えてくれた

悲しみをResetして

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